【種類解説付き】家族のために健康な「あぶら」を選ぼう

この記事は2020年7月7日に作成および更新したものです。
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唐揚げや炒め物、クッキーやバターケーキって本当に美味しいですよね。
あぶらを使った料理やお菓子、結構な頻度で食卓に上がるのではないでしょうか?

しかし、あぶら=高カロリーで太りやすい。というイメージはみなさん持たれていると思いますが、
実はそれだけではないんです。
「太る」ということだけではない、あぶらが体に及ぼす影響について、
体にいいとされているあぶら、控えた方がいいとされているあぶら等、
今日はそんな色々なあぶらの話をしようと思います。

▼この記事を読んで分かること
◎「あぶら」の種類。
◎体にとって「いいあぶら」と「悪いあぶら」について。
◎「あぶら」との付き合い方。

この記事を読めば、身近な「あぶら」のあれこれが分かるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.「脂」と「油」の違いについて

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「あぶら」を漢字で書いた時に「脂」と「油」の2種類ありますが、この違いが何だかご存知ですか?
「脂」とは常温で個体の状態を保っている「あぶら」を指し、「飽和脂肪酸」という項目に分類され、
「油」とは常温で液体の状態を保っている「あぶら」を指し、「不飽和脂肪酸」という項目に分類されます。

「あぶら=脂質」のカロリーは1g=9キロカロリーあり、1g=4キロカロリーの「たんぱく質」や「炭水化物」に比べてカロリーが2倍以上もある上に、その美味しさからついつい摂取し過ぎて、カロリー過多やお腹周りが気になり、ダイエットのために真っ先にカットしようとしがちな存在ではないでしょうか?

しかし、「脂質」は「たんぱく質」、「炭水化物」と並ぶ三大栄養素であり、私達が健康に生活していく上ではとても大切な栄養素です。

また、私たちの体を作っている細胞の細胞壁は多くの脂肪酸で構成されており、お肌のツヤやハリにも欠かせません。

身近だけどあまり詳しく知らなかった「あぶら」のことを知って、家族の健康やママの美容のためにも上手に付き合っていきたい!そんな「あぶら」について詳しく見ていきましょう。

2.色々な「あぶら」について

飽和脂肪酸

「飽和脂肪酸」は「長鎖脂肪酸」、「中鎖脂肪酸」、「短鎖脂肪酸」に分類されます。
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牛脂や豚の脂のラード等の動物の脂肪、インスタントラーメンなどの加工食品に多く含まれている脂肪酸がこれにあたります。
常温で個体であるため、食べすぎると体内に蓄積されやすいため、太りやすく、動脈硬化や心疾患、高血圧等の原因になり、生活習慣病のリスクを高めると言われています。
動物の肉はタンパク質摂取には欠かせませんが、バラ肉やカルビなど、脂質の多い部位などは食べ過ぎにはくれぐれも注意が必要です。
「飽和脂肪酸」の中でもこの「長鎖脂肪酸」の摂りすぎに気をつけた方が良さそうです。

最近人気の「ココナッツオイル」や「MCTオイル」がこれにあたります。
なぜ「ココナッツオイル」や「MCTオイル」がダイエットにいいとされているかというと、体内に取り込まれると消化されるのが早く、エネルギーに変わりやすいため、体内に蓄積されにくい「あぶら」であることから、ダイエットにいいということで脚光を浴びています。
牛乳や、バター、チーズ等の乳製品に含まれている脂肪酸であり、牛乳や乳製品以外の食品にはほとんど含まれておらず、これらの食品の特徴的な成分と言えます。

不飽和脂肪酸

「不飽和脂肪酸」はほぼ全てが「長鎖脂肪酸」であり、それぞれ「一価不飽和脂肪酸」、「多価不飽和脂肪酸」、「トランス脂肪酸」に分類されます。
「一価不飽和脂肪酸」は「オメガ9系」の脂肪酸に分類することができ、この脂肪酸は体内で合成することができます。
オリーブオイルやアボカドオイル、なたね油、等がこれにあたり、酸化しにくく、熱にも強いため加熱調理に向いています。
抗酸化成分が多いため、活性酸素による脂肪細胞の増加を抑制したり、代謝を促進してくれます。
「多価不飽和脂肪酸」は「オメガ6系」と「オメガ3系」の脂肪酸に分類することができ、この脂肪酸は体内で合成することができないため、食品から摂取する必要がある「必須脂肪酸」となります。
…オメガ6系脂肪酸…

サラダ油や大豆油、インスタント食品やファーストフード、スナック菓子など、安くて大量生産できる食べ物に多く使われています。
それは、この「オメガ6系」の脂肪酸が安価で加熱しても壊れない性質であるためです。
スナック菓子や加工食品等の原材料によく使われている「植物油脂」もこれにあたります。

体にとって必要な脂肪酸ではありますが、細胞膜を硬くし、体を炎症に傾けるという性質があり、過剰摂取は避けたい油です。
しかし、現代人はこのあぶらを摂り過ぎの傾向にあると言われています。
食べすぎると肌荒れやアレルギーの原因になったり、循環器系の病気を発症するリスクが高まると言われています。

また、酸化しやすい油であるため、市販の揚げてある惣菜やファーストフードには酸化している油が多く含まれており、そういう視点からもこれらの食品の摂りすぎには注意が必要です。
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…オメガ3系脂肪酸…

魚に含まれる油の「EPA」や「DHA」、エゴマ油、アマニ油、しそ油等がこれにあたり、クルミ等のナッツ類に多く含まれていることでも有名です。
細胞膜をしなやかにしてくれる性質があり、体内の炎症を整えてくれます。
血液をサラサラにしてくれたり、生活習慣病の予防やアレルギーの抑制をしてくれるといわれている、
いわゆる「体にいい油」です。

子どもの脳の成長、発達にも「EPA」や「DHA」が必要だと言われています。

また、オメガ3系脂肪酸はとても酸化しやすく、熱に弱いので加熱調理には向きません。
積極的に新鮮なお魚を食べたり、サラダにこれらの油と少量の塩をかけてそのままいただく等の食べ方がおすすめです。

※オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の理想の摂取バランスは4:1と言われていますが、現代の日本人の現実は「20:1」となっており、オメガ6系脂肪酸が理想よりも随分多く摂りすぎていると言われています。
…トランス脂肪酸…

油脂を人工的に加工して作られた脂肪酸であり、「マーガリン」や「ショートニング」、「ファットスプレッド」等がこれにあたり、
また、「マーガリン」や「ショートニング」等を使って作られている市販のスナック菓子やクッキー、ケーキ類、菓子パンなどにも多く含まれています。

摂取しすぎると悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少させ、動脈硬化や心疾患を発症したり、免疫機能の低下や発がん性のリスクを高めると言われており、「食べるプラスチック」と揶揄されています。

海外ではトランス脂肪酸の使用を禁止している国や、含有量を表記する義務がある国などもあります。
しかし、日本では一部の企業等がトランス脂肪酸の含有を減らす商品を販売していたりはしますが、まだ身近な食品に普通に使われており、表示義務もありません。

私たち消費者が知識を持って賢く選択していくことが必要になります。
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3.まとめ

◎「あぶら」には肉類などに多く含まれる「飽和脂肪酸」である「脂」と、魚や植物などに多く含まれる「不飽和脂肪酸」があります。
◎ココナッツオイルやMCTオイルがダイエット向きだと言われているのは体に溜まりにくくエネルギーになりやすいためです。
◎体を炎症に傾ける「オメガ6系脂肪酸」と炎症を緩和させる「オメガ3系脂肪酸」これらの脂肪酸は摂取バランスが大切です。
◎体にいい「あぶら」、悪い「あぶら」、いかなる「あぶら」も1g=9キロカロリーには変わりありません。食べ過ぎには注意しましょう。


(担当ライター:まるぱん子