発達障害のはなし⑥支援学級ってどんなところ?

この記事は2023年7月11日に作成および更新したものです。
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こんにちは。

シリーズでお届けしている「発達障害のはなし」です。
この度は筆者の息子が在籍している地域の小学校の「特別支援学級」についてご紹介したいと思います。

今回は筆者の息子のケースをもとにお話しするので、広島市の話が中心になります。
詳しくはお住いの地域の小学校によるかと思いますので、その点ご了承の上お読みいただけたらと思います。

前回のお話はこちら↓↓

▼この記事を読んで分かること
◎【特別支援学級】ってどんなところ?
◎【通常学級】との関りは?
◎どんな支援が受けられるの?

この記事を読めば、【特別支援学級】ってどんなところか分かるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.【特別支援教育】ってなあに?

まずは【特別支援教育】についてです。

今までの記事でちらっと書いたことはあると思いますが、【特別支援教育】とはなんでしょうか?

文部科学省のホームページ内には以下のようにあります。↓↓


 「特別支援教育」とは、障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活や学習上の困難を改善又は克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものである。

つまり障害のある子どもたちの「自立・社会参加」のための主体的な取り組みを支援すること。
子ども一人一人の教育的ニーズを把握した上で特別な支援を行う、ということではないかと思います。

また、特別支援教育については「特別支援学校」や「特別支援学級」に在籍する子のみが対象となるわけではありません。
通常学級に通う子どもたちももちろん受けることができます。

子どもたちによって「騒がしい環境がしんどい」「黒板を写すことが苦手」「文を読むことが苦手」「先生の指示に注目することが難しい」「計算が苦手」など、その困り感は様々です。

その子その子の困り感に応じて生活面や学習面の困難さを改善するために手立てを考えて実施してくれるんですね。
昔であれば取り残されていたかもしれない子たちの困り感を拾い上げ、個々に応じた支援をすることで公平な教育を受けられるようになるので、とても素晴らしいことだと筆者は考えます。

小学校で受けられる支援

では具体的にどのような支援が受けられるのか、ということですね。
わが子のケースを中心にお話しますが、本当にその子その子の困りごと・特性に応じていろんな対応をしていただけるなと感じます。
学校での学習面、生活面両方において、本人の困り感や発達特性・感覚面の過敏さ等に応じた支援が行われています。


例えば、一斉指示が入りにくいという子の場合、特別支援学級(以下、支援級と書くこともあります)で個別の授業を受ける子と、通常級で学習指導員の先生や学習サポーターの先生についてもらい授業を受ける子、などがいます。
同じ支援級のクラスに在籍する同学年の子であったとしても、全く同じ動きをするというわけではありません。

もちろん各学校の先生方の人員配置にも左右されますが、完全にケースバイケースですね。
授業の間だけではなくて休憩時間や給食時間、掃除時間など本当にそれぞれで過ごし方は違いますし、一度決めたらずっとそうというわけではなくて子どもの状況に応じて臨機応変に変更しているという印象です。


筆者の息子の場合は「刺激量が多いと集中できない」「全体指示が通りにくい」「音に過敏気味で騒がしいのは苦手」という特性から、国語・算数を中心に給食時間や休憩時間も支援級で過ごしています。
ちなみにその他の図工・体育・生活・音楽は交流級として所属している通常級で受けていますよ。
また、そのような時は支援級の担任の先生や学習指導員の先生が付き添って、授業中に直接支援して下さるので安心です。

支援級と通常級の両方に所属しているので席は両方にあり、通常級に行ったときは通常級のクラスメイトが色々と話しかけてくれているようです。

このように支援級に所属していてもずっとそこで過ごさないといけないというわけではなくて通常級で過ごす時間もありますし、子どもたちの成長に応じて転籍(支援級➡通常級等)も行われており、発達成長に応じてその子にとって最適な学ぶ場所・生活する場所を選べるのかな?という印象です。


2.【特別支援学級】ってどんなところ?

では【特別支援教育】の中でも「特別支援学級」について詳しくお話していきます。

我が子は就学相談を受けて相談員さんや校長先生と話を進めていく中で息子の就学先として「通常学級」ではなく「特別支援学級」を選択しました。

特別支援学級は通常学級とは異なり、児童数最大8人までの少人数のクラスです。

特別支援学級にも種類がありますが、筆者の息子は「自閉症・情緒障害」のクラスに在籍しています。

就学前にはどうするのか非常に悩みましたが、今元気に毎日小学校に通っていく息子を見ているとこの選択でよかったんだな、と感じています。

では特別支援学級のメリット・デメリットを含めて、詳しくご紹介していきたいと思います。

どんな種類があるの?

まずは、特別支援学級の種類についてです。


学校教育法 第八十一条による と、その種類は7つに分かれています。

1.知的障害
2.肢体不自由
3.病弱・身体虚弱
4.弱視
5.難聴
6.言語障害
7.自閉症・情緒障害

しかしどの小学校にも7クラスすべてが設置されているというわけではありません。
(※参考までに広島市の場合はこちらをご覧ください。)
知的障害クラスと自閉症・情緒障害のクラスは設置されているケースが多い印象ですね。

メリット・デメリット

そして筆者が一保護者として感じたメリット・デメリットについてお伝えしたいと思います。


まずはメリットについてです。

筆者はデメリットよりもメリットの方が強く感じています。

【1】学習面を丁寧に見てもらえること

個別で見てもらえる時間が多く学習面の苦手に対して丁寧にアプローチしてもらえるため、取りこぼしが少ない。
スモールステップで本人の進度・成長に合わせて細かく教えてもらうことが可能です。
「本人のつまずいている点にしぼってじっくり丁寧に教える」ということもできるので、勉強について行けているという印象です。

【2】少人数で刺激量が少ないこと

なんといっても筆者の息子の場合はこれですね。
保育園時代はとにかく騒がしくて刺激量が多すぎて混乱していたんだと思います。
なにをしていいのかわからずぼーっとしてしまうことも多かったようです。

一方、小学校に入ってからはわかりやすい時間割の中で、少ない人数と静かな環境、と刺激量が減ったことで安心して過ごせているようです。

情報処理に困難さがあるため、刺激量が多いと必要な情報にだけ注目するというのが難しくなり混乱してしまいますが、情報が整理された、ある程度構造化された環境の中ではやるべきことをしっかり行うことができます。

【3】個別支援が受けられること

学習面もそうなのですが、帰り支度や給食の準備など、その他の生活場面でも困ったことや難しいことがあると個別に対応を考えて支援をして下さるので安心です。

また発達特性上「どうしても難しい・できない」といったことに対して「合理的配慮」を受けられるのもありがたいです。
例えば、筆者の息子の場合「給食時の放送がうるさい、つらい」ということがあり、筆者の息子は「放送の入らない静かな別部屋で特別支援コーディネーターの先生と二人で給食を食べる」という配慮を受けています。


そしてデメリットについてです。

これは今のところそこまで思いつかないのですが、強いてあげるとすれば「同学年の子たちとの関りが通常級に在籍する場合より減ってしまう」というところでしょうか。

あと、筆者の場合は息子が受けている支援、今ある小学校の環境にとても満足していますが、受けられる支援・配慮等特別支援教育の体制は自治体・各学校において違いがあるように聞きます。
ですが、これは仕方がないことかもしれませんね。

個々の子どもによって違うのかもしれませんが、わが子にとっては支援級に在籍することでのデメリットよりメリットの方が圧倒的に大きいなと一保護者として感じています。

3.一保護者としての感想

では、最後に「特別支援学級」に息子が在籍している一保護者としての感想を少しまとめたいと思います。

自治体によって「特別支援教育の在り方」や「通常級との交流」など様々なことが異なるので各自治体の場合をご確認いただきたいとは思うのですが、筆者は「広島市(県)」の特別支援教育の方針には共感していますし、今息子が受けることができている支援に対しとても満足しており有難く思っています。

支援級の担任の先生だけでなく、通常級の担任の先生や特別支援コーディネーターの先生、学習指導員の先生、と様々な先生方が連携して尽力してくださり、息子の安心安全な学校生活があるんだな、と感じています。

特に感じている二点について詳しく書きますね。

静かで安心できる居場所

息子の場合ですが、とにかく「刺激量が多い(うるさかったり、掲示物が多かったり)」と気が散り集中して学習することができませんし、先生の一斉指示を取りこぼすことなく動くこともまだまだ難しいといった面があります。

なので余計な情報がなく、個別で指示をもらうことのできる支援級ではしっかり学習を進めることができています。
大きな音も苦手ですから、少人数で過ごせる支援級は彼にとって「安心して過ごせる場所」になっています。

学校によるのかもしれませんが、支援級にはブロックやラキューなどちょっとしたおもちゃが置いてあることも多く、朝の登校後や休み時間など遊ぶのに使用しているようです。

またパーティションや畳、トランポリンなどもあり、クールダウンスペースも取りやすくなっているため、気持ちを落ち着かせやすいように工夫がされています。

担任の先生がすぐ近くにいてくれるというのも心の安心につながっているように感じます。


様々な面で支援級は彼にとって「安心できる居場所」のようになっているようです。
筆者は情緒の安定と「楽しい」気持ちがないと成長は難しいと個人的に考えているので、とにかく元気に楽しく通ってくれているというのが一番です。

担任の先生との密なコミュニケーション

そして保護者としてありがたいのはなんといっても「担任の先生としっかりとコミュニケーションが取れること」です。

通常、小学校に入学すると一般的には何か特別なことがない限り連絡帳への記載はないのではないかと思います。
ですが、支援級の場合保育園の時のように「連絡帳でのやり取り」があり、子どもの学校での様子を詳しく知ることができますし、家であったことやその時気を付けてほしいこと等詳しく共有できるのでとても助かっています。

困ったことがあってもすぐ対策を取ることができますし、問題が大きな問題になる前に対応してもらえるので安心です。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は広島市中心の話にはなりますが「特別支援学級ってどんなところ?」という点についてご紹介させていただきました。
【特別支援学級】といっても通常級にも籍はありますし、子どもによって支援の受け方は様々です。

【特別支援学級】は学習面や生活面で困難さを抱える子どもたちが、適切な支援を受けながら安心して学校生活を送るために必要な場所ではないか、と筆者は感じます。


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(担当ライター:サニー