大人より視力低下のスピードが早い?!『いま守ろう、我が子の視力。』

いま守ろう、我が子の視力。
生まれながらにスマホやゲーム、PCがある環境で育つ今の子どもたち。それらは生活に欠かせない一方で、現代の子どもの視力は悪化し続けていると言われます。特に視力は遺伝的な要素も否定できないため、中には「仕方ないよね」と諦めてしまっているケースも。今回は、今後も低年齢化、増加する恐れのある「子どもの視力」について、視力低下の現状と解決策をお伝えします。



視力低下実態アンケート

Q1:我が子の視力低下が気になる?

Q15


Q2:Q1の回答の理由は?

▼「気になる」と答えた方

両親とも目が悪いため、遺伝が気になる。
保育園でも視力検査が始まったこと、YouTubeをよくみること。
タブレットやテレビを長時間見てしまってる。最近の子どもは小さい頃から視力が低下してるというニュースを見て不安。
YouTubeを毎日たくさん見ているので心配。
テレビ、携帯、タブレット、おもちゃの液晶、視力が落ちる原因が身近にたくさんある。


▼「気にならない」と答えた方

見えづらそうな仕草などが今のところない。
あまりテレビなどの画面を見せてないから。
自分たちの見えない遠くの物も見れているから今は気になりません。
今はまだ小さいし、違和感もないので気にしていません。
小学校に上がると視力検査があるから。
気にしたことがない。


Q3:視力低下を防ぐため、子育ての中で実践していることは?(複数回答)

Q32




我が子の視力の守り方
小・中学校の児童に1人1台のICT端末とその通信環境整備が進められ、さらにデジタル教科書などの導入も予定されている今後の教育環境。子どもたちとデジタルは、これまで以上に切っても切れない関係になりつつあります。そんな中、大人よりもデリケートな目を持つ子どもの視力低下を防ぐ術はないのでしょうか。KAO CLINICの久保木先生にお話を伺いました。


子どもの視力が決まるのは何歳?

生まれたばかりの時は、まだぼんやりとしか見えない程度で(0.01〜0.02)、生後3か月になると追視(ものを目で追う)ができるようになり、そして、3歳で0.6〜0.9、5〜6歳で1.0と視力が発達していくと言われています。つまり、乳幼児期(生後〜6歳くらい)は、目の発達に重要な時期といえます。
また、いわゆる弱視とは、強い屈折異常などがあると視力の発達が止まってしまい、メガネを使っても視力が悪い状態のことを言います。そのため、3歳児健診は目の発達を知るために非常に大切な健診なのです。
幼児の場合は、くっきりと見えてなくても『見えない』とは訴えないことが多いので調べないと弱視かどうかは判断できません。そして弱視が見つかったとしても、3〜4歳であれば弱視訓練をすることで治せる可能性が高いのです。
逆に言うと、6〜8歳以降になると視力の臨界期を超えてしまうので弱視治療の効果は期待できなくなります。


子どもの視力低下、その現状と原因は?

弱視の最も多い原因は、遠視です。
目を細めて見る・極端に近づいて見るなどの症状で気づくことがあります。
そのほか、不同視弱視といって遠視・近視・乱視に左右差が強いために起こる弱視、斜視による弱視、先天性白内障などの原因も様々です。
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子どもの目を守るには?

お子様の弱視を見逃さないために、3歳児健診はきちんと受けましょう。
また、タブレット端末などの使い方には注意しましょう。


学校健診で視力低下や異常を指摘されたら

4月の新学期が始まった時期は定期健診が行われ、健診結果はA、B、C、Dの4段階で判定されます。
お子様が検査結果を持ち帰った際に結果がA判定以外だった場合は、眼科を早めに受診するようにしましょう。
通常の眼科の視力健診と異なるため、仮にB判定だった場合も眼科での測定では1.2以上と診断されるときもあったり、眼科で正確に調べると右目左目で視力に偏りがあったりという場合もあります。このような結果のずれが起こる理由としては、人が大勢いる場では集中力が散漫したり、前の生徒の答えを覚えてしまったりなどがあるためです。眼科での正確な結果から、日常生活で不便がないように、視機能改善治療や眼鏡などの装用が必要となることもあります。そのため、ご家庭で問題ないと判断せず、眼科の検査を受けて現状をしっかり把握するようにしましょう。
眼科を受診する際には、学校で受診結果が書かれた用紙をもらえるので、検査前に受付で指定の用紙を受け取り、記入します。また、眼鏡を普段かけているお子様については度が合っているかを確認するので、来院される際は忘れないようにしましょう。学校で指摘されたこと以外にも何か気になることがありましたら、気軽に眼科までご相談ください。


先生に質問
大人と同様に、デジタル端末(パソコン・タブレット・スマートフォン)の時間が長くなると、ドライアイや眼精疲労、睡眠障害が危惧されます。
コロナ禍で圧倒的に屋内でのネット環境が提供されることが増えてしまうことにより、屋外活動の減少に伴い、近視の発症や進行に拍車がかかっていることは日本眼科医会でも明らかに提言されています。最近は太陽光をある程度浴びることが近視の進行予防に有効であることも報告されています。
それから、
①端末は、目から30cm以上離して使う(良い姿勢も大切、お子様の成長に合わせて机や椅子の高さも調整)
②30分に1回、20秒以上画面から目を離す(タイマー利用もあり)
(遠くの景色を見る・瞬きもしっかりする・伸びをしたり体を動かすことも効果的)
③明るい部屋で使う (画面の明るさや角度を調整する)
(一般的には、夜は昼間より画面の明るさを少し下げます)
④寝る1時間前には、やめましょう。
デジタル端末との向き合い方




久保木香織院長
ノートルダム清心高等学校卒業、川崎医大卒業。関西医大眼科勤務等を経て帰広、眼科クリニック勤務。その後、フランスボルドー大学へ留学。2022年4月「KAO CLINIC」開院。

【資格】
・眼科専門医(日本眼科学会)
・PDT認定医
・ボトックス注射
・健康マイスター

【所属学会】
・日本眼科学会 ・日本網膜硝子体学会
・日本眼循環学会 ・ドライアイ研究会
・LIME研究会 ・ブルーライト研究会
・日本臨床眼科学会 ・日本抗加齢医学会
・アイフレイルアドバイスドクター登録