いつから話す?どう話す?子どもの性教育

子どもの性教育
突然ですが、子どもに「赤ちゃんはどこからくるの?」と
聞かれたら、どう答えますか?なかなか答えに迷ってしまう
パパママも多いのでは。大切だとは分かっていても、
世界から大きく遅れていると言われる日本の性教育。
今回は、元保健室の先生で、現在はカウンセラーとして
活動する心音香奈さんに子どもへの性の伝え方、
伝えることの重要性についてお話いただきました。


心音香奈さん


日本の性教育の現状って?

海外では、性教育について日本の数倍の時間をかけて教えている国もあり、日本ではそもそもの時間の確保が課題と言えます。また、学習指導要領には受精や妊娠についての性教育は行えても性交については説明できないという規定があったのも事実で、性について子どもたちに伝えたいのにジレンマを感じている先生たちがいるのが現状です。
このように性教育を受けてこなかった世代がいざ教える側に立ったとき、きちんと教える自信がないという現状もあります。日本の恥じらいの文化はとても素晴らしい文化ですが、幼少期からの「見ない」「話さない」が日本の性教育の遅れを作っているとも感じています。


赤ちゃんはどこからくるの?と聞かれたら

大事なのは、どうしてそう思ったのかということ。まずは「いい質問だね」と言ってあげましょう。そして、男の人と女の人が持つ赤ちゃんの元が合体するんだよと答えてあげます。けしてコウノトリが運んでくるとは伝えません。「どこから〝出る〟の?」と聞かれたら女の人にはオシッコとウンチの他に、赤ちゃんの出る穴があると教えてあげます。ちなみに「どう合体するの?」と聞かれたとき、私のレクチャーでは魚や鳥、馬などの交尾のイラストを徐々に見せ、最後に人間のイラストを見せることで子どもたちはスムーズに理解していきます。ただ、それ以上踏み込んだ質問があれば、「これはママ(パパ)のプライベートゾーンの話だから答えたくないの」と断りましょう。全てを赤裸々に話す必要はありません。
子どもが性に関心を示したとき、変に誤魔化したりすると子どもは「自分のママ(パパ)はこうしたものを嫌がるんだ」と学習し、結果、家庭で性の話をしなくなり、ネットなどに情報を求めがちになります。


赤ちゃん


プライベートゾーンについて、どう教える?

我が家では、口とおっぱいとお尻と性器は、人に見せたり触らせたりしてはいけないところだと週に1回は教えています。このうち性器は男女で異なるものなので、各家庭で名称を決めるとよいでしょう(お姫ちゃん等)。
プライベートゾーンがどこか、それを人にどうされるといけないのかを子どもたちが十分理解すると、親としても注意しやすくなりますし、子ども自身の性犯罪等への注意喚起にもなります。このプライベートゾーンを幼少期から意識させるため、自己管理できるまではトイレでお尻を拭いてあげる前に「失礼します」とひと声かけてあげるのもオススメです。


プライベートゾーン


家庭の中でこれだけは気をつけて!

一番気をつけたいのは、性の話が出たときに否定したりはぐらかしたりしないこと。例えば子どもから性に関する質問があったとき、すぐに即答できなくても必ず後で答えてあげてください。答えないままでいると、我が家ではタブーなんだと感じてしまいます。
お風呂では性器の正しい洗い方も知っておく必要があります。知らないと放置してしまうことがあり、あわてて病院にいくことになってしまいます。性教育は、子育て全体に関わる話なのです。


おわりに

私は、性教育は3歳からしてほしいと思っています。理由は、子どもに性に対する抵抗感がなく、それだけ親も抵抗感を感じることなくラクに教えられるから。そして何より3歳が性犯罪の対象とされる年齢だから。性犯罪の被害を受けないためには、性教育による危機管理意識の醸成が大切だとされています。
また、小さい頃から性について学べば学ぶほど、子どもたちは自分自身や異性の心と体を大事にしようとします。それは将来、心の豊かさや優しさにつながってくるはずです。ママもパパも、習ってきていないのだから知らなくて当たり前です。全て学んで完璧にしてから性教育を始めようと思わず、子どもと足並みを揃えて学んでいけばいいと思います。心豊かな子に、性犯罪から身を守れる子に。性教育は親から子への愛のプレゼントです。