急速に変化し続けている世の中において、私達は一体何を学ばせるために子供を学校へ行かせているのでしょうか。子供たちは学んでいます。しかし子供たちが学んでいる内容は、今の時代ネットで検索すれば出てくるであろう内容を多く含んでいます。現在のグローバルな世の中に適応するには、自分で考える力が重要になってきます。思考力はその他の技能と同じで、適切なトレーニングを受けることによって磨かれていきます。小さい頃から考えるために言語を学ぶということを念頭におくと、思考力は飛躍的に伸びていきます。
クリティカルシンキング(批判的思考)の重要性をよく聞くようになりました。批判的思考という和訳では少し否定的な意味合いを含みますが、英語では否定的な意味合いはありません。情報の裏側で意図している内容にまで敏感になり、自分の頭で客観的にあらゆる角度から考える思考法こそがクリティカルシンキングです。何かの粗を探すとか、間違いを批判することではありません。
コミュニケーションとは、自分が意図したいことを伝え、説明することだと思います。クリティカルシンキングスキルを磨くとは、容易には理解しにくいメッセージの中にある、微妙に意図されたことを見抜けるようになることです。いかなる形であれ、コミュニケーションはある程度、意図的に自分の意思が伝わるように行われますが、聞き手によってそのメッセージは様々な形で解釈されることがあります。子供たちが世の中を理解しようとするならば、やはりあらゆる側面から批判的に考えることが必要なのです。
日本国内で国際バカロレアが注目を集めています。それに伴いクリティカルシンキングの理解が深まり、クリティカルシンキングのティーチングスタイルがより取り込まれることになるかもしれません。クリティカルシンキングは、子供たちにもっと自由な形で物事を理解する力を育んでくれます。しかし自分が発する内容を考えることや、自分が発する言葉や先生が言われる事柄に疑問を持つなど、子供たちにとってはチャレンジになることでしょう。講義形式や記憶重視型アプローチではクリティカルシンキング能力は育ちません。これからの子供たちが、このグローバル社会を生き抜いていくには、あらゆる角度から物事をとらえ、批判的に考える力を育むことが求められるのではないでしょうか。