幻のアイデンティティ

 グローバルなマインドネスを育成するためのキー・ポイントの1つは、自分自身を知る事です。この領域については、学校よりも家族のほうがサポートしやすいはずです。私たちのアイデンティティには私たちが意識していない側面が多くあるので、理解するのは驚くほど難しいと思います。それは、まさに世界の在り方であり、自分の在り方でもあります。しかし、この幻は、自分の想定に向き合う事を余儀なくされれば消えていきます。そして、自分自身をより理解するには、このプロセスが必要なのです。
 あなた自身、あなたのアイデンティティを知るには常に苦労が伴います。子供は、大人を「完成品」として見る傾向があります。大人は、自分の居場所がどこかを知っているように見えますが、このミステリアスな大人の段階に近づいてくるにつれ、自分探しのプロセスは続くのだと気づきます。そしてそれは終わる事がないのです。特に、私たちが人間関係を変えると顕著になります。私たちは自分たちのアイデンティティを、周りの人や、人間関係に反映させて描いていきます。
 自分自身を知る事は、周りの人々と、どのように繋がっているかを知る事でもあります。そのため、グローバルな視点を持つために、子供が理解しなければならないのは、他者との繋がりを知る事によって、自分のアイデンティティを理解するようになるという事です。この事から、人々の繋がりのタイプをいくつか見ていきましょう。特に、共通点と相違点を軸にして、繋がりを見ていくと良いでしょう。まとまる形でも分割される形でも構いません。
 子供たちは、アイデンティティを形成する初期段階にいます。この過程では、周りの人達と、どのように繋がっているか、そして他者と、どのように異なり、どのように隔てられているかも学びます。私たちのアイデンティティは、私たちが既に知っている事で形成されています。しかし、私たちが知らない事の産物でもあります。知っている事、知らない事によって、世界とのつながり方が決まります。
 私たちは自分の周りに作り上げた世界に住んでいます。それがシャボン玉です。定義するならば、私たちが理解できている範囲と、その外側の境界部分です。私たちはシャボン玉を壊す事はありませんが、それを広げる事もできます。それが自由です。ある意味、これがグローバルな意識そのものなのです。私たちの視野を広げ、他者の視野を広げる手助けをする事で生まれる自由。私たちが直面している問題は、どうやってシャボン玉を広げるかという事です。私たち、そして子供たちが理解できる事のバリアをどうやって押し広げる事ができるでしょうか。あなたの今までの学習経験ひとつひとつが、お子さんとの会話のネタになります。そして、お子さんが自分のバリアを押し広げていく助けとなるのです。お子さんとの会話時間を大切にしましょう。




ダミアン校長