新しい家

 学校はその土地や建物ではなく、人と人との関係や学校に属する物との関係を築く場です。最近広島インターナショナルスクールではこれを強固に感じる出来事がありました。新校舎が完成したのです。
 仮設校舎は何年も別館として定着していましたが、教室の大きさは非常に狭く、建物の一部の音が他のすべての部分に響くよう建設されていました。断熱材がないため、空調は夏と冬は特に適度な温度を保つ必要がありました。校舎の外側は錆び始め、階段からペンキがはがれ始め、この建物はますます魅力を失いました。さらに、生徒数が増えるにつれ、教室のスペースはさらに狭くなりました。

 数年の計画と準備の後、2020年に広島インターナショナルスクールは別館に代わる新しい建物の建設を開始しました。ただし、新校舎建設プロジェクトでは、最初に古い建物をなくす必要がありました。

 私は既存の建物についてあまり考えずに、建て替えの計画を続け、よりユーザーフレンドリーなデザインで、より広く、より魅力的な教室を備えた新しい建物にすることだけを考えていました。
 学校の本質を思い出したのは、古い別館を撤去するためにトラックが到着したときでした。長い間別館の教室を使用していた上の学年の生徒は、作業員が建物を少しずつ解体し始め、古い建物が取り壊されるのを見て本当に悲しんでいました。「建物は古かったけどとても気に入っていた。私たちにとっては家のようだった」などのコメントが聞かれましたし、生徒たちは別館での夏の暑さと冬の寒さについて、階段の揺れ、1階は天井の足音で2階を何人動き回っているのかがわかるといった思い出を語り、解除が難しかったドアのロックを開けるのに誰が一番優れているかについて議論していました。生徒たちにとって別館での出来事はすべて楽しい思い出だったのです。

 私は古い別館についてあまり考えていなかったので、これは非常に興味深いものでした。生徒たちは別館で楽しい時間を過ごし、自分たちがそこに属しているように感じ、友情を育む場だったのです。生徒たちが別館を自分たちの家と呼んでいたという事実に心が温かくなりました。
 私たちは、学校では大切にされており、くつろぐことができ、自分の居場所であると感じることのできる場所であると、生徒全員に感じてもらいたいと思っています。

 今の私たちの挑戦は、これからの世代のHIS生徒のために、新しい校舎をそのような思い出となる場所に作りあげることです。古い別館が新しくなっても、私たちはいつまでも古い校舎に愛情を持ち続け、忘れることはないでしょう。




ダミアン校長