ここまでは「口呼吸していたら上顎(うわアゴ)が前方向に出ないので喉が詰まる」というお話をしてきました。
今回はお口の中の「歯が並ぶ場所がどうやって大きくなるのか」についてお話しします。この「歯が並ぶ場所」が顎なのですが、顎は顔の一部だから、当然顔の成長と顎の成長はリンクしています。
突然ですが、このイラストは赤ちゃんと大人の頭の骨です。大きく違うのは顔の長さなのですが、それには鼻の周りの成長が深く関係しています。
赤ちゃんのとき、目と同じくらいの高さにあった鼻は成長するにつれて大きくなりながら下へ向かって下がって行きます。そうやって徐々に鼻の周りの骨の長さを伸ばして行きます。(※図の矢印箇所)
これは鼻で呼吸することで鼻腔と呼ばれる鼻の奥の部屋に圧力がかかるからです。つまり、鼻呼吸することが顔の成長を促すのです。
ここでもっと不思議なことが起こります。なんと鼻の周りが長く成長するにつれて上顎の歯が並ぶ場所が広くなるのです。しかも、鼻呼吸なら舌が上顎にくっついているから、なおのこと上顎は広がりやすいのです。こうやって鼻で息をしながら上顎が舌で広げられると、上顎は舌を格納するのに十分な広さに成長するので、舌が喉を塞いだりする事態が避けやすくなります。逆に言うと顎が小さくて歯が並んでいないときは、舌が口の中に収まりきらない場合もあり、喉を塞いでしまうこともあるのです。
つまり、歯並びが悪いのは決して見た目の問題だけではないということです。 そして、下顎は機能的にできていますので、広がった上顎に広さも長さも適応して行くのです。ただし、このためには上下の顎がお互いに協調しながら成長することが必要になります。そのためには「1日のうちの数時間は上下の歯が軽く接触していること」が大切であり、「口ポカン」は良くないということになります。まずは鼻呼吸から実践してみましょう!