口呼吸が顔発育に与える影響

人類の歴史からわかる顔の成り立ちと歯並び問題
口呼吸と顔の成長と歯並びが関係していることを前回お知らせしました。今回は口呼吸によって顔のどの部分が影響を受けるのかについて、なんと人類の進化をまじえて説明してみたいと思います。今回の内容は歯並びが悪くなることを理解するためには避けては通れない大切なお話になります。
かつて私たちの先祖である原人は犬などの哺乳類と同じように口が前に出っぱっていました。やがて人類は二足歩行をするようになり、前を見て行動するために目が顔の中央に位置するようになりました。そしていろいろ頭を使うようになり賢くなった結果、脳も大きく成長しました。これらの条件を満たすために私たち人類は頭と顔が直角に曲がった形に進化したのです。この顔の部分は大きく分類すると「上あご」と「下あご」に分けられます。


こうふん-図
しかし、このように進化することで人類はある部分を犠牲にすることになりました。それが「咽頭(のど)」です。顎と頭がまっすぐな哺乳類では広かった「咽頭」は顔が折れ曲がることで奥に押しやられました。つまり狭くなってしまったのです。


「うわあご」と「呼吸」の関係
このことが原因で私たちは呼吸に関係する病気にかかりやすくなったとも考えられます。そして驚くべきことに口呼吸をしていると「上あご」の成長に影響が出てしまうのです。
鼻呼吸の人では「舌」は「上あご」の裏側にくっついているので「舌」が大きくなるにつれて「上あご」は前に成長していきますが、口呼吸の人では「舌」が「上あご」から離れているため「上あご」は前に成長することができません。それどころか奥に向かって成長してしまい、「咽頭」をより狭くしてしまうことがあるのです。この「上あご」の成長方向の変化が上下の顎の関係を乱すことになり、これがいわゆる「反対咬合」や「出っ歯」という結果につながることになるのです。


呼吸-図





田中宏尚-院長