子どもの歯磨き、口腔内ケアについてお話します。

●口腔内ケアの重要性


口腔内の細菌は、虫歯や歯周病、口臭の原因になります。歯周病菌は歯肉から毛細血管に入り、動脈硬化や虚血性心疾患、脳梗塞、肥満、糖尿病、認知症、骨粗しょう症などを引き起こします。また、歯周病菌は蛋白分解酵素を産生し、ウイルスが細胞内に侵入、増殖するのを手助けします。口腔内が不潔だと、細菌やウイルスと戦うIgA抗体による抗感染作用も減弱します。風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルスの感染予防のために、口腔内ケアを行うことは、とても大切なのです。抗菌作用、自浄作用のある唾液は、就寝中にはほとんど分泌されず、起床時には口腔内細菌が最も増殖しています。食後の歯磨きだけでなく、起床後の歯磨きが勧められます。歯の表面だけでなく、歯間、歯茎との境目もしっかり、下の前歯の裏側は、歯ブラシを縦にして、柄に近い部分で掻き出すように磨きましょう。


●子どもの歯磨き


出生後から歯の生える前までは、口腔内を清潔にするために、授乳後にガーゼを指に巻いて、口の中をぬぐってあげましょう。歯が生え始めてからは、子ども用の歯ブラシを持たせた後、親御さんが仕上げ磨きをします。歯磨きを自分でやりたがるようになれば、その意欲を大切にして、習慣づけるようにします。痛くない柔らかい毛の歯ブラシを選択し、デンタルフロスや歯間ブラシも併用します。親御さんによる仕上げ磨きは、8歳ぐらいまで必要で、フロスを上手に使える高学年までは、手助けをしてあげましょう。1回の歯磨きの時間は最低3分間、就寝前の歯磨きはより丁寧にします。キャラクターの歯ブラシ、フルーツ味の歯磨き粉、歌やご褒美シールなどを使って、歯磨きの時間が楽しくなるように、工夫をしてみましょう。


●舌磨き


舌に付着している白色、黄色の苔状のものは舌苔と呼ばれ、食べカスや剥がれた細胞が溜まって形成され、口臭の原因となります。 舌苔がついているところに舌ブラシを当て、手前に向かって、3~4回軽くやさしく掻き出します。その後ブクブクうがいとガラガラうがいで、口の中をゆすぎます。1日1回起床後、歯磨き前に行うのがお勧めです。幼少時期では、ガーゼを指に巻いて、ぬぐってあげましょう。


●おわりに


虫歯の治療を受けた後、今度こそきちんと磨こう、と決意するものの、その思いは日々の忙しさで忘れて、歯磨きの丁寧さも薄れてしまいます。歯磨きが虫歯だけでなく、自分の健康、感染予防のためだと認識すると、歯磨きをおろそかにできなくなります。「いまここに心を置く」マインドフルネスを歯磨きの時間に行ってみましょう。歯ブラシに歯磨き粉をつけ、口の中を隅々まで磨き、ブクブクうがいをする歯磨きのプロセスに注意を向けてみると、ストレス軽減や心の安定をもたらします。歯磨きの時間が、心の安らぐ時間になるとよいですね。





野村真二院長

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