●はじめに
鉄は、酸素の運搬を行うヘモグロビン(赤血球内の赤い色素)を作る際に、欠かせない材料です。また、神経伝達物質やコラーゲンの合成、エネルギーの産生にも必須です。鉄が不足すると、赤血球の成熟遅延から貧血を来し、発育や運動能力だけでなく、認知、記憶、情緒、社会性の発達や睡眠覚醒リズムにも影響を及ぼします。鉄欠乏性貧血の好発年齢は、離乳期と思春期です。
●はじめに
鉄は、酸素の運搬を行うヘモグロビン(赤血球内の赤い色素)を作る際に、欠かせない材料です。また、神経伝達物質やコラーゲンの合成、エネルギーの産生にも必須です。鉄が不足すると、赤血球の成熟遅延から貧血を来し、発育や運動能力だけでなく、認知、記憶、情緒、社会性の発達や睡眠覚醒リズムにも影響を及ぼします。鉄欠乏性貧血の好発年齢は、離乳期と思春期です。
●乳児期の貧血
早産児や妊娠中、授乳中の母親が鉄不足の場合、母体からの鉄移行が不十分のため、貧血を来します。生後9カ月以降では、急激な発育のために鉄需要は増加しますが、母体由来の鉄が枯渇し、離乳食での鉄摂取が不足すると、鉄欠乏が顕著になります。
●幼児・学童・思春期の貧血
偏食、牛乳多飲に注意が必要です。牛乳の鉄吸収は不良で、多飲により必要な食事量も減少します。思春期では、身長が伸び、筋肉や血液量も増加するため、成人の2~3倍の鉄が必要となります。スポーツ貧血は、運動量増大による鉄需要の増加、汗や尿からの喪失、足底の衝撃による赤血球の破壊、鉄の摂取不足が関係しています。その他に、月経による鉄喪失、無理なダイエットによる鉄摂取不足、ピロリ感染などがあげられます。
●症状
顔色不良、疲労感、食欲不振、体重増加不良、運動時の息切れ、動悸、頭痛、めまい、味覚異常、舌炎、口角炎、肌荒れ、抜け毛、爪の異常などがみられます。氷や海苔、ガム、ラムネ菓子、土などを強迫的に食べる異食症もあります。脳に酸素が十分届かないため、集中力や注意力が低下し、発達障害、情緒障害、学習障害にも関係しています。鉄欠乏があると、熱性けいれんを起こしやすくなるという報告もみられます。思春期では、起立性低血圧、心身症、うつ病などと類似した症状を呈します。
●食事療法と鉄剤投与
赤身の肉(牛、ラム)、青魚(いわし、さば)、レバー(牛、豚、鶏)などの動物性食品に多いヘム鉄は、吸収率がよいとされています。ほうれん草や小松菜に含まれる非ヘム鉄は、吸収がよくないので、ビタミンCが豊富な果物、野菜やタンパク質を同時に摂取するとよいでしょう。レバーは、牛乳による下処理をして、高温の油でサッと揚げたり、みじん切りにしてミンチに混ぜると食べやすくなります。海苔など海藻類、大豆製品、卵も積極的に摂取するようにしましょう。貧血や貯蔵鉄の低下があれば、鉄剤投与を行い、貯蔵鉄が補充されるまで、3~4カ月の内服が必要です。副作用として、吐き気、便秘、下痢、食欲不振などがあげられます。
●おわりに
鉄は、子どもの発育発達や心と体の健康のために、とても大切です。特に離乳期と思春期には、鉄が不足しやすいので、注意が必要です。鉄不足は大人の体調不良にも関与するため、家族みんなで食事の見直しをしてみましょう。
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