子どもの咳がひどくなる3つの感染症についてお話します。

●RSウイルス感染症


以前は冬季に流行していましたが、近年夏、秋の流行が目立っています。半数の人が1歳までに、ほとんどの人が2歳までに感染し、その後も感染を繰り返します。潜伏期間は4~6日で、発熱、咳、鼻水がみられ、3割程度で気管支炎や細気管支炎を発症し、ひどい咳、喘鳴、多呼吸、陥没呼吸をきたします。乳児や早く生まれた低出生体重児、心臓・肺に病気のある子どもでは、重症化しやすくなります。対症療法が主体で、細菌感染の合併があれば、抗生剤を投与します。遺伝子組み換えによるモノクロナール抗体(シナジス)には、感染予防効果があり、在胎35週以下の早産児と慢性肺疾患や先天性心疾患、免疫不全を有する乳幼児に対して、流行期に投与します。妊娠24から36週の妊婦、60歳以上の高齢者を対象に、RSワクチン接種が開始されています。


●ヒトメタニューモウイルス感染症


症状はRSウイルス感染症と類似し、3~6月に感染者が増加します。半数の人が2歳までに、ほとんどの人が10歳までに感染し、その後も感染を繰り返します。潜伏期間は3~5日で、発熱、咳、鼻水がみられ、悪化すると気管支炎、細気管支炎、肺炎を発症し、喘鳴、多呼吸、陥没呼吸をきたします。咳や鼻水がひどく、高熱が4~5日続くのが特徴です。乳児や早く生まれた低出生体重児、心臓・肺に病気のある子どもでは、重症化しやすくなります。対症療法が主体で、細菌感染の合併があれば、抗生剤を投与します。br>


●マイコプラズマ感染症


4年周期でオリンピックの開催年に流行していましたが、近年は毎年一定の発生が報告されています。学童期以降に多いですが、幼児にもみられ、家族内感染や再感染に注意が必要です。潜伏期間は14〜21日で、発熱から2~3日遅れて咳が出始め、乾いた咳から、次第にひどくなり、痰が絡んだ咳に変わります。熱が下がっても、3~4週間咳が続くことがあります。肺炎の合併もあり、特に喘息があると重症化しやすくなります。嘔吐、下痢、発疹、中耳炎、関節炎、髄膜炎、脳炎などの肺以外の症状もみられます。抗菌薬、鎮咳去痰剤、ステロイド、吸入療法などで治療します。近年、耐性菌が増えてきています。


●家庭での注意


咳が出る感染症の特徴と対処方法を知っておくことは大切です。飛沫感染、接触感染を予防するために、うがいや手洗い、マスク着用が有効です。食事は消化のよいものにして、十分な水分摂取と部屋の加湿を心がけましょう。就寝時には座らせると、呼吸が楽になります。入浴は体力を消耗するので、急性期には体を拭くか、さっとシャワーだけにします。熱が下がって咳が軽くなり、食欲が回復してから、登園、登校するようにします。高熱が持続し、活気が低下し、水分摂取ができない場合、多呼吸、喘鳴がひどい場合には、入院が必要になることもあります。かかりつけ医に早目に相談しましょう。





野村真二院長

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