子どもの機能性腹痛についてお話します。

●はじめに


子どもは、「お腹が痛い」とよく訴えます。重大な病気がなく、1回の腹痛は比較的すぐに改善するのに、2~6カ月以上にわたって繰り返す場合に、機能性腹痛と呼んでいます。多くはおへその周囲を痛がります。自律神経が未発達で、不規則な生活、不適切な食習慣、運動不足、ストレスが背景にあるとされています。


●警告サインに注意


腹痛の際のチェック項目として、食欲はあるか、便の頻度と性状、顔色はよいか、脱水はないか、お腹を触ってかたくないかに注意しましょう。以下の症状がみられる場合には、器質的疾患の警告サインとして、早めに病院で診てもらいましょう。

①発熱の持続、体重減少 
②痛みの程度が強い
(夜間の下痢や腹痛で眠れない、痛みで歩行できない、お腹をかがめて歩く、お腹を触ると痛がる)
③右上腹部または右下腹部痛が持続
④血便、嘔吐、嚥下困難
⑤背中、肩、下肢、関節の痛み
⑥口内炎、血尿、排尿時痛、皮膚出血斑、脚の付け根や陰部の腫大、黄疸


●対処方法は?


食習慣を見直し、規則正しい生活と適度な運動を心がけましょう。スマホなどメディアに依存していないか、睡眠は十分かを検討し、改善するようにします。親子の会話、スキンシップが大切です。話をよく聞いて、感情を共有するようにします。「お腹が痛いの?」と聞くと、腹痛の頻度が増加することもあります。子どもが興味を持つこと、例えばトランプなどのゲームや絵本に誘って、親子の時間を持つようにします。子どもの自立や責任ある行動を褒めてあげましょう。深呼吸してリラックス、ポジティブなイメージングも効果的です。


●その他の機能性消化管障害


過敏性腸症候群は、週1回以上で2ヶ月以上続く腹痛、腹部不快感があり、排便により腹痛が和らぐのが特徴です。便秘型、下痢型、混合型、ガス型に分類されます。腸の蠕動運動の異常、内臓知覚過敏、腸内細菌叢の異常が関連しています。機能性ディスペプシアは、便の異常はなく、週1回以上で2ヶ月以上続くみぞおちの痛み、胃もたれ、げっぷ、はきけがみられます。よく噛んで食べ、腹八分目にして、食後30分は休憩するようにします。他には、周期性嘔吐症、おへそ周囲の強い痛みで年齢とともに片頭痛に移行する腹部片頭痛などがあります。


●おわりに


子どもは、言葉による表現が上手ではなく、「お腹が痛い」と言っても、体の不調、気持ちの不調、寂しさを訴えている場合もあります。ギューッと抱きしめて、笑顔で「大丈夫、そばにいるよ」と伝えてあげましょう。元気を取り戻して、お腹の痛みもどこかへ…。いつもの顔で笑ってくれるようになるといいですね。





野村真二院長