その悩み、お坊さんに聞いてみよ!【お寺の子育て相談室】①

この記事は2025年8月12日に作成および更新したものです。
おでかけやご利用の際は公式サイト等で最新の情報を確認してください。
otera-kosodate01-main

子どもの発達、友達関係、パートナーとの役割分担、仕事との両立......。
情報があふれる現代でも、子育ての悩みは尽きません。
むしろ、情報に振り回されて何が正解かわからなくなることも。

そんなママンペール世代が抱える子育てのお悩みについて、広島のお坊さんにたずねてみました。
はるか昔から人々の心に寄り添ってきた仏教に、子育てがちょっぴり楽になるヒントがあるかもしれません。

▼この記事を読んで分かること
◎そもそも「夫婦は分かり合えないもの」。
◎ケンカする「場所」は努力で変えられる。
◎多様な考えに触れることで、心が楽になる。

この記事を読めば、子育ての悩みについてのヒントがきっと得られるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.子育ての悩みにお坊さんが寄り添います

d07ba15ed04e31fdc93140565ee57670

「仏教」と聞くと、一般的には法事やお葬式などのイメージが大きいのではないでしょうか?
でも、本来仏教は、「今を生きる人々」の悩みや苦しみを解決するために生まれたもの
私たちの持つ「常識」や「世間の価値観」を一歩離れ、別の視点からものごとをとらえ直すことができる教えです。

今回は、そんな仏教にたずさわるお坊さんに、子育ての悩みを相談してみました。
読むうちに、自分の子育てについての気づきや、ハッとするような言葉に出合えるかも!?

2.今回のお悩みは......

この記事では、ママンペールライターが、SNSなどを通じて子育て中のママパパからお悩みを募集。
その中からピックアップした質問を、お坊さんに投げかけてみました。

さて、今回のお悩みは......誰もが思い当たる経験があるのでは!?

パートナーとの衝突に悩むママからの相談

572e10180f1ad1863b219fe64679eebe
今回のお悩み:
「パートナーと、子どものしつけや習い事について意見がぶつかることが多く、相手を受け入れられず衝突してしまいます。
子どもの前でその姿を見せたくないのですが、感情を抑えられません。
どのようにしたら相手を理解できるようになるのでしょうか?」(40代女性)

3.お坊さんからの回答

今回の質問に答えていただくのは、広島のど真ん中、八丁堀にある「超覚寺」の住職、和田隆恩さんです。
日ごろから悩み相談の窓口を開き、また遺族の分かち合いやグリーフサポートなど多方面で活動中。
子育て歴25年(子ども6人:長女25歳~三女11歳)のベテランです。

夫婦は分かり合えないもの

ー今回の相談は、どこの家庭でもよくあるお悩みですね。

本当にそうですね。
私自身にも、もちろん経験があります。
パートナーとの衝突に悩む方は多いと思いますが、まず最初にお伝えしたいのは、「夫婦は分かり合えないもの」という前提を持ってみてはどうでしょうか、ということです。
たとえ家族であっても、それぞれ異なる価値観を持っているし、男女の性差も考え方の違いに大きく影響します。
それは決して「どちらかが間違っている」ということではなく、「そもそも違っている」のが自然な姿です。

ーなるほど、まずその前提を踏まえるのが大事なんですね。
今回の悩みのようなことについて、仏教ではどんな風に考えますか?

たとえば、仏教の教えのひとつに「四苦八苦」というものがあります。
これは、人生の苦しみを八種類に分けて明らかにしたもの。
四苦八苦の中でも、今回のお悩みは「求不得苦(ぐふとっく)」―求めるものが得られない苦しみに当たるのではないでしょうか。
私たちは、つい何でも自分の思い通りにしたいと思いがち。
でも、相手がそれを分かってくれないと「なんで分からないの」と腹が立ちます。
そんな時、「たとえパートナーでも、分かってもらえないのは当たり前。
それにいらだつ自分も当たり前」
と思えれば、衝突の火種は少し小さくなるかもしれません。

ーそう思えば、少し冷静になれそうですね。
ほかには、具体的にどう考えればよいでしょうか。

そうですね、夫婦の意見が対立したとき、理想はふたりの意見を融合したような案を見つけることですが、現実には難しいこともあります。
私も長年パートナーと連れ添っていますが、「今回は自分が譲る。次は相手に譲ってもらう」というように、長い目で見てバランスを取るよう心がけてきました。
「すべての場面で平等でなくてはならない」のではなく、「全体として支え合えているか」を見る視点です。
もちろん、時には互いにどうしても譲れないというケースも出てくるでしょう。
その時は、やはりよく話し合うしかありません。

衝突する「場所」は、努力で変えられる

ーもうひとつ、今回のお悩みで気になるのは「子どもの前」での衝突ですよね。

よくないと分かっていても、つい子どもの前で感情的なやりとりをしてしまう。そういう場合もあると思います。
でも、これはやはり避けたいところ......。
私も自分の子どもたちの前では、どんなに意見が対立しても決して言い争わないように心がけてきました。
怒りがわくのは人間だから仕方ない。
でも、それを「どこで」表現するかは、日頃の意識と努力で変えられる
可能性があります。

ー相談者さんは、感情的になってしまう自分の姿に気づいているし、またお子さんたちの前でそれを見せたくないと思っていますね。

そうですよね。
このままではいけないという意識があれば、きっと行動を変えることができると思います。
私達は、「自分がよりよく生きるため」の主張によって争いを生み、結果的に自分自身や家族を苦しめてしまうことがあります。
仏教では、それを「煩悩」と呼びます。
けれど、この煩悩も悪いものではありません
人間が生きていくうえで避けられない本能です。
大切なのは、それとどう付き合うか。
つまり「ちょうどいい加減」を探していくことです。

「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」

ーお話を聞いていて、詩人の相田みつをさんの言葉「うばい合えば足らぬ、わけ合えばあまる」を思い出しました。
夫婦って、本当は支え合う関係のはずなんですが......
 

夫婦であっても、なぜか勝ち負けをしてしまうんですよね。
結局、「自分の思い通りにしたい」というのが人間の根底にあるわけで。
先ほど言ったように、それは本能として避けられないものなんですが、「もっともっと」というのが良くないと思うんです。
要はバランスですが、そのちょうどいいところが自分にはなかなか見えないんですよね。

人は誰でも、「自分の物差し」というものを持っています。
でも、その物差しだけで世界を見ていると、時に行き詰ってしまうことがある。
仏教は、そんな私たちに「尺度の異なる物差し」を与えてくれる教えです。
仏教に限らず、多様な考え方に触れて視野を広げてみることが大切です。
「あぁ、そういうものの見方していいんだ」と思えたら、きっと心が楽になりますよ。

4.まとめ

・そもそも夫婦は分かり合えないものだと認識する
・すべての場面で平等でなくていい。全体として支え合うのが大事
・子どもの前でのケンカだけは避ける努力をする
・多様な考えに触れ、視野を広げることで楽になれる

vNAReXa2T7KLs0AKjPcvgw

【回答いただいたお坊さんのご紹介】
和田隆恩(わだ・りゅうおん)/超覚寺住職。
人通りの多い八丁堀で、お寺の掲示板を毎日更新している。
その言葉選びのユニークさが注目を集め、「お寺の掲示板大賞」で二度優勝。
脱サラして30歳で僧侶となってから、20年以上人々の悩みに耳を傾け続けている。

●超覚寺ホームページ
●超覚寺インスタグラム
(担当ライター:いづみ