親子で考えよう!SDGs

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突然ですが「SDGs」ってご存知ですか。近年よく耳にするようになった言葉ですが「すべての目標を知っている」「家庭や職場で実践している」という方はまだ少ないかもしれません。そこで今回は、SDGsに取り組む企業やママをご紹介。未来を担う子どもたちのために、あなたも今日からできることを始めてみませんか。


「SDGs」って一体ナニ?


 2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットにおいて加盟193か国の満場一致で採択された人類共通の目標のことです。国の分断や先進国と途上国間の格差、貧困問題などの解決や地球環境の保護を目指し、地球上の〝誰一人取り残さない〟社会、多様性と包摂性のある社会を2030年までに実現することを目標にしています。SDGs(エス・ディー・ジーズ)は「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、17の大きなゴールと169のターゲット、さらに232の具体的な数値目標から構成されています。


「持続可能な開発」って?


 かつての開発は、森林破壊や水質汚染など様々な公害を引き起こしました。大量生産大量消費の時代はある意味でそれが効率的なやり方であり、我々人間にとって便利な方法でもありました。しかし、地球規模で考えると当然資源には限りがあります。今の自分たちの都合だけで生活を考えるなら問題なくても、私たちの次の世代のことを考えたとき、それは持続可能とは呼べません。SDGsはそこに警鐘を鳴らしています。また、日本は開発が進んでいますが、新興国や途上国ではいまだ教育や医療といったものも含め社会インフラが整っていません。その日本でも、今の時代に生まれてくる若者たちは、現実に環境問題に直面しています。だからこの問題は、日本だけの話でもなく、日本から遠い国の話だけでもないのです。世界全体が環境や社会課題をきちんと考えながら、より良い未来となる開発を進めなければなりません。「持続可能な開発」とはつまり、現在の世代も未来の世代も幸せになれる開発なのです。


家庭でできることは?


 普段の生活で言えば、何か商品を購入する際に、その会社がフェアトレードや環境保全などSDGsにしっかり取り組んでいるかを見て選ぶことができます。これにより、商品を作る側も買う側も高い意識を持つことができます。また、自分の子どもや孫のより良い未来を想像することもできます。「この子たちの笑顔を守りたい」その気持ちこそが親が取り組むSDGsの第一歩かもしれません。


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17の目標

【1】貧困をなくそう
【2】飢餓をゼロに
【3】すべての人に健康と福祉を
【4】質の高い教育をみんなに
【5】ジェンダー平等を実現しよう
【6】安全な水とトイレを世界中に
【7】エネルギーをみんなにそしてクリーンに
【8】働きがいも経済成長も
【9】産業と技術革新の基盤をつくろう
【10】人や国の不平等をなくそう
【11】住み続けられるまちづくりを
【12】つくる責任つかう責任
【13】気候変動に具体的な対策を
【14】海の豊かさを守ろう
【15】陸の豊かさも守ろう
【16】平和と公正をすべての人に
【17】パートナーシップで目標を達成しよう





SDGs×企業

地元企業の取り組み紹介


広島県内の企業でも様々なSDGsの取り組みが進んでいます。今回はそんな企業の取り組みの一部をご紹介。あなたの会社でも未来のための一歩をスタートしてみませんか。



中国労働金庫(中国ろうきん)
広島市南区稲荷町1-14
https://www.chugoku.rokin.or.jp/

企業の取り組み-mark01


金融に関する支援や啓発活動をはじめ、環境保全に寄付活動まで


貧困や社会的孤立に陥ることなく「金融包摂」の実践により、誰もが健康で安心して働き暮らせる社会の実現を目指す中国労働金庫。「ライフプランセミナー」、「マネートラブル防止セミナー」の実施や「多重債務問題の解決」に向けた相談活動など、金融経済教育に取り組んでいます。また、ESG投資(※)の実践により、持続可能な社会づくりにも貢献しています。この他、NPOと協力した里山再生や環境教育にも積極的で、広島でも展開している「ろうきん森の学校」は、「国連生物多様性の10年日本委員会」が推奨する連携事業にも認定。さらに、中国ろうきん独自の取り組みとして、新規契約や利用限度額の増額件数に応じて、自殺予防のためなどに活動する中国5県の「いのちの電話」へ寄付を行っています。

(※)財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のこと


日本の里山再生をテーマにした「ろうきん森の学校」

▲日本の里山再生をテーマにした「ろうきん森の学校」。広島地区は北広島町に拠点があり、「緑」「健康の維持」「地球環境保全」という3つのキーワードに基づき、子どもたちも楽しみながら森の大切さを学んでいます。写真は毎年秋に実施している森の学校フェスティバルの様子。



医療法人社団 湧泉会 ひまわり歯科
安芸郡海田町昭和中町2-38
https://www.himawari-sika.com/

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歯科診療のみならず、働きやすさや地域の健康促進にも積極的!


一般的な歯科診療はもちろん、通院が困難な方への訪問歯科診療、さらに予防の観点から院内外での様々な啓蒙活動を行うひまわり歯科。家庭と医院が協力して子どもの成長を支える取り組みや高齢者向けのフレイル(※)予防教室など、すべての人が笑顔で過ごせる地域共生社会の実現へ向けて積極的な活動を続けています。19年には「暮らしの保健室 すまいる」を開設。子育てや介護に悩む方から引きこもりがちな高齢者までが気軽に集える情報発信基地として注目を集めています。一方、多様な背景を持つスタッフそれぞれが〝お互いさま〟で助け合う風土も同院の特長。手厚い支援制度のもとワークライフバランスの実現に向けて邁進中で、さらに未来のための歯科医師・歯科衛生士の育成にも尽力しています。

(※)健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体・認知機能の低下が見られるものの、適切な治療や予防によって要介護状態に進まない可能性がある状態


「暮らしの保健室-すまいる」

▲「暮らしの保健室 すまいる」では、看護師や管理栄養士による健康栄養相談を気軽に受けることができます。また、親子での食育や小学校での集団行動の練習、乳がんの相談会に認知症予防の活動まで、子育て世代から高齢者までが気軽に参加できるイベントも定期的に実施しています。





親子でSDGs

家庭でできるSDGsの取り組みもあります。
今回は3名のママたちをご紹介。
あなたの家庭でもぜひ取り入れてみて♪


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食育やジェンダーレスな子育てを実践


のぞみママは野菜が生きていることをわかってもらうため、食育として野菜を切るところを見せたり、「野菜さん大きくなるかな?」と葉が伸びるところを一緒に観察しています。より身近に感じられるように野菜の切れ端に目を付ける工夫も♪今後はなつちゃんの成長に合わせてプランター菜園にも挑戦予定です。また、なかなかパパが帰ってくる時間に合わせて料理を作れずラップの使用量が増えてしまうため、洗って繰り返し使えるラップを使用。サラダなどはお昼寝などの作れる時間に作り冷蔵庫に入れておくそう。それから、なつちゃんにジェンダーを意識させる声かけはせず、なつちゃんの意思と関係なく女の子らしいおもちゃを与えないということも、生まれてすぐに夫婦で決めました。例えば「女の子だからピンクにしよう!」と服の色を決めたり、「女の子だからおままごとだよね!」とキッチンセットを買ったりしません。「不用意な刷り込みによって『男の子なのにピンクなの?』と言ってしまったりすると聞いたので、まだ性別を意識していないうちから刷り込みはしないようにしています。そして娘が自分の意思で選ぶようになれば、トミカでもプリンセスのドレスでも与えようと思っています」とママ。



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子供服や子供靴を次の誰かへ


よく目にしていたSDGsという言葉をネットで調べ、環境破壊や温暖化など子どもたちの未来を不安に思っていたこともあり、その取り組みに賛同したというゆきママ。一人一人ができることを少しでもやっていけば幸せな未来に近づくと思い、自分にもできることを考えたそう。まず、不要になった子供服はユニクロの古着回収へ。微々たる金額で買い取ってもらうより世界で困っている人に届けた方がいいと思い古着回収を選びました。最近ではそごうでの子供靴の回収も利用しています。また、家庭のプラスチックゴミが海に流れ、それを魚たちが食べ海洋汚染につながっているというニュースを読み、スポンジをシリコン製にチェンジ。「はじめはスポンジのような泡立ちがないので戸惑いましたが、油汚れもスッキリとれるし、スポンジの劣化も気にならなくなり、買い替える頻度も減りました」とママ。子どもたちとも、当たり前のように使っている水や電気も限りある資源だということ、海や川にゴミが捨ててあったりするのは環境破壊につながること、紙や割り箸は木から作られているから無駄遣いをしてはいけないことなど、日常の中で話し、何かを感じ取ってほしいと願っているそうです。



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エコな体験を通して価値観の土台を


マイボトルの愛用にはじまり、ヨモギの葉やミカンの皮での入浴剤づくり、重曹での靴洗いなど、エコな子育てを実践するみかママ。例えば古くなった帽子やバッグは、買い替えるのではなく藍染でリメイクして長く大切にしています。また、しおんくんと羊毛紡ぎ体験や紙漉き体験を行う中で、プラスチックなどは自然に還りにくいことを少しずつ伝えています。この他にも、木材などの工作を一緒に行い、修理して使えるものもたくさんあることも教えているそう。「すべてが持続可能なライフスタイルにはなってませんが、子どもが育つときの土台としてそういう視点の種まきをしたいと思っています」とママ。子どもとも「ゴミが増えないといいね」「修理して使おう」という会話が増え、しおんくんからも「もったいないんじゃなかった?」「壊してしまったから直して」という言葉が出てくるようになったそうです。まだ6歳。ママパパの伝えたいことがどこまで伝わっているかはわからないそうですが、「壊れたら買えばいいという価値観より直して使うがベースになることが増えるといいなと思います。直す場面やモノづくりに多く触れることで、生きていく力を身につけてほしいです」とママは話してくれました。