幼児教育を通して、子どもたちの「平和の芽」を育てる

望月主税-統括園長-img


先日、広島在住の映画監督・時川英之氏とお話する機会がありました。新作『惑星ラブソング』は、被爆80年を迎える広島を舞台にした青春SFファンタジーで、過去と未来、現実と空想が交錯しながら、平和へのメッセージを世界に発信する作品です。広島に暮らす私たちにとって、この作品が描いた「広島から平和を伝える」という視点は、幼児教育の現場とも深く共鳴します。

本園では、平和について考える機会を日常的に取り入れています。園内に設置された「平和のピアノ」は、子どもたちが自由に触れ、音を通じてやさしさや共感を育む象徴的な存在です。国際バカロレア(IB)の探究ユニットの一環として、平和記念公園を訪れ、自分たちで折った折鶴を納める体験も行ってきました。子どもたちの表情や様子からは、まだ言葉にはできないながらも、確かに何かを感じ取っている様子が伝わってきます。また、宮島への遠足では外国人観光客の方々に英語でインタビューし、その優しさやユーモアにふれる機会もあります。

IB教育の理念は、「多様な文化を理解し、尊重することで、よりよい、より平和な世界の実現に貢献できる思いやりある若者の育成」です。本園でも外国人講師と日常的にふれあい、異なる文化や言語に対する寛容さを自然と育てる環境を整えています。英語での遊びや対話を通じて国の違いに親しむだけでなく、講師の祖国の行事や伝統料理をテーマにした日を設け、給食でその国のメニューを楽しんだり、講師自身が子どもたちに自国の生活や文化を紹介したりする機会もあります。子どもたちにとって「ちがう」は「おもしろい」や「もっと知りたい」に変わっていくのです。

ご家庭でも、子どもと共に平和を育むことは可能です。「相手の気持ちを考えてみようね」「話は最後まで聞こうね」といった、そのような声かけや日常の対話が、思いやりや共感の芽となります。絵本や出来事をきっかけに、「どうしてこの人は怒ったのかな?」「どうしたら仲良くできるかな?」と一緒に考えることも、子どもの心に平和の種をまく行為となるでしょう。加えて、外国の文化や音楽、食べ物などに家庭でも関心をもつ機会を作ることで、子どもたちの視野はさらに広がります。

教育と家庭が手を取り合い、平和を築く心を次世代へと繋いでいきたいと考えています。


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