ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン博士は、幼児期に非認知能力(自制心、協調性、粘り強さなど)を育むことが、将来的な学力、就労、健康、さらには社会的成功に大きな影響を与えると指摘しました。彼の研究によれば、非認知能力を育む教育にかけた1ドルは、7〜10ドルの社会的利益として返ってくるとされており、これは大学教育よりも高い投資効果と評価されています。
この非認知能力の土台にこそ、21世紀型スキルの核である「4C」が重なります。たとえば、クリティカルシンキングを通じて物事を多角的に見る力、コラボレーションによって協働する力、そして創造性やコミュニケーション能力を通じて自分の考えを形にして他者に伝える力が、それぞれ社会生活や将来の職業において大きな意味を持ちます。
私たちが運営する国際バカロレア(IB)認定のつきのひかり国際こども園、フルムーンインターナショナルこども園では、このような非認知能力と21世紀型スキルの育成を重視しています。IBの「探究型学習」は、子どもたちが自ら問いを立て、調べ、考え、仲間と対話しながら答えを見出すプロセスを大切にしています。自然体験や園外活動、アートや言語活動などを通して、思考・表現・協働の力を日々養っています。外国人講師の話す英語に触れ、異文化を体験し、世界に視野を広げた活動も取り入れています。
さらに、デジタル時代の教育においても、私たちは慎重な姿勢を保ちつつ、テクノロジーを適切に活用しています。動画や写真などのICTツールは、子どもたちの学びを「見える化」するうえで有効ですが、基本はあくまでも実体験と人との関わり。学びの深さは、人との関係の中でこそ培われるという視点を大切にしています。
21世紀を生きる子どもたちにとって、必要なのは「知識量」ではなく「生きる力」です。教育と家庭の両輪で、子どもたちの可能性を最大限に広げていきましょう。