未来を支える姿勢と歯の健康

このコラムがシリーズの最終章になります。これまで「口呼吸により顔の成長に問題が起こり咽頭が狭くなり睡眠に影響が出ることがあり、結果的に顎の成長も悪くなり歯並びが悪くなってしまう」ということをお伝えして参りましたが、もっと端的にこれを表現するなら「舌の位置が正常化すれば成長上の問題の多くが改善できる可能性がある」ということになります。


「全身の姿勢」が理想の舌の位置を作り出す鍵

では、舌の位置を改善するにはどうしたら良いのでしょうか?実は舌の位置には全身の姿勢が関係していると考えられています。舌の位置は「舌骨(ぜっこつ)」と呼ばれる骨の位置によって決められます。舌骨は関節を持たない骨ですので、頭が上下に動いてもあまり動きません。要するに顎を出したような姿勢になれば舌と上顎は離れた関係になり、逆に顎を引いた姿勢がキープできれば上顎と舌は近づいた関係になります。
正しいお顔や顎の成長を促すには舌が上顎に近づくことが正解です。つまり、顎を引いた正しい姿勢をキープすることができれば正しい成長につながる可能性が高いのです。
このような「良い姿勢」は骨盤の傾きが鍵を握っており、良い姿勢のキープには「体幹筋」が必要になります。つまり、外を歩いたり積極的な外遊びを心がけることが大切だということになります。


歯と姿勢に関する視点からお子さまの健やかな成長を

歯の噛み合わせ問題は時代や文化により影響があると言われています。例えばソファや椅子の文化はもともと日本には存在しなかったもので、近年はこれらが姿勢の乱れの原因になっている可能性もあります。また最近では便利な育児玩具の開発が子どもの発達を妨げているという意見もあります。
「コロナ」の影響によりマスクをする機会が増え、外遊びの時間が減りました。この影響は未知数な部分もありますが、肺の機能を弱くしてしまっている可能性があり、これが舌の位置に影響している可能性もあります。今こそマスクを外して外遊びに出かけましょう。そして大きな声を出して遊ぶのです。

歯並びや健康問題がある場合には専門家に相談することをおすすめいたします。
一人でも多くのお子さんが健康な人生を送れることを心からお祈りしながら、私のコラム連載を終えたいと思います。ありがとうございました。





田中宏尚-院長