問いから始まる秋〜対話と体験で育む認知と非認知の輪〜

AIやデジタル技術が飛躍的に発展し、答えが即座に入手できる現代において、知識や情報処理といった「認知能力」だけでなく、好奇心や思考力、粘り強い探究心や他者との協働性といった「非認知能力」をバランスよく育むことの重要性が一段と高まっています。木々が鮮やかに色づき実りの季節を迎える秋は、子どもたちの素朴な疑問や身近な発見を深め、自発的で豊かな学びへと踏み出す絶好の機会です。画面越しの情報にとどまらず、五感を通した手触りのある実体験から自ら「なぜ?」を見つけることが成長の基盤となります。

校門立哨での対話と広がる学び

毎朝、校門での立哨(りっしょう)に立っていると、子どもたちが「校長先生、見て!カマキリをつかまえたよ」「こんなにいろんな形のどんぐりがあったよ」と、目を輝かせながら嬉しそうに声をかけてくれます。春のダンゴムシや夏のセミと同じように、秋もまたカマキリや赤トンボ、色づいた落葉や木の実など、身近な自然の移ろいや生き物たちに感動する姿が見られます。日々の生活の中にある小さな発見を自分の言葉で生き生きと語ってくれる子どもたちとの対話を通して、一人ひとりの探究心や学びが日常の体験から深く、豊かに広がっていることを心から実感しています。

「にんげん」(道徳)で深める てつがく対話

身近な自然体験から得られた気づきや素朴な疑問をさらに高めるため、本校では独自の道徳の授業である「にんげん」の時間において「てつがく対話」を実践しています。正解が一つではない問いについて、自分の意見や感じたことを率直に言葉にし、仲間の異なる視点や多様な価値観に耳を傾けながら問いを深める取り組みです。教科書の知識を蓄積する「認知能力」の学びを超えて、他者への共感や思考の柔軟性といった「非認知能力」をじっくりと培う貴重な場となっています。互いの考えや表現を尊重し合う対話を通じて、物事の本質を見つめ直すしなやかな思考力が着実に育まれています。

未来を生き抜くしなやかな心へ

秋から冬へと季節が深まっていくこの時期は、子どもたちの日々の学びと成長が大きな実を結ぶ大切な節目でもあります。認知能力と非認知能力の双方が豊かに結びつくことこそが、予測不能で変化の激しいこれからの時代を自分らしく力強く生き抜くための土台となります。朝の挨拶で響く「小さな発見」の歓声や、対話の中で深まる「なぜ?」という問いの芽をこれからも大切に育みながら、子どもたちが本物との出会いや多様な体験を通して学び続け、自分らしく豊かな人生を切り拓いていくことを願っています。





cd2a7c4ff7ab322bb5e81d470066f9e3