皆さんは、のび太をどのような子どもだと思いますか。勉強も運動も苦手で、宿題を忘れてはお母さんに叱られる。一方、出木杉くんは成績優秀で運動も得意。もし理想の子どもを選ぶなら、出木杉くんでしょうか。
しかし、のび太には人の悲しみに寄り添い、困っている人を放っておけない優しさがあります。失敗しても誰かを頼り、時には勇気を振り絞って行動します。学力という物差しでは見えない、素晴らしい力を持っているのです。
発達心理学には「自己効力感」という概念があります。心理学者バンデューラが提唱したもので、「自分にはできる」という感覚を指します。この感覚は、成功体験だけでなく、周囲からの励ましなどによっても育まれます。失敗ばかりを指摘される環境では、子どもは挑戦する自信を失ってしまうかもしれません。
国際バカロレア(IB)教育には、育てたい人物像を示す「学習者像」があります。その一つが「思いやりのある人(Caring)」です。他者の気持ちを理解し、尊重し、よりよい社会のために行動する姿勢を大切にしています。そう考えると、のび太はまさにこの学習者像を体現しているのではないでしょうか。本園でも、学力や目に見える成果だけでなく、子どもたち一人ひとりの個性や強みを見つけ、伸ばすことを大切にしています。
もちろん、何をしても許されるわけではありません。人を傷つけたり、よくないことをしたりしたときには、きちんと注意する必要があります。ただし、行動を注意することと、その子自身を否定することは違います。失敗しても自分は大切にされている。そう感じられる環境こそが、次の挑戦への自信につながります。
私たちはつい、子どもを誰かと比較してしまいます。しかし、すべての子どもが出木杉くんになる必要はありません。子育てで大切なのは、理想の誰かに近づけることではなく、その子自身の可能性を信じ、伸ばしていくことなのだと思います。






















