多胎児の妊娠・育児を知ろう!

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双子や三つ子など、多胎児が生まれる割合は約1%。
100人に1人が多胎出生の赤ちゃんと言われています。
今回は、多胎妊娠や多胎出産の仕組みや気をつけておきたいことを、
土谷総合病院産婦人科の道方先生にお伺いしました。
多胎児サークル「ピーナッツ・フレンド」のみなさんの、
サークル活動や多胎児の子育てあるあるも紹介しています。


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二人以上の赤ちゃんを同時に妊娠することを多胎妊娠と言います。赤ちゃんが二人なら双胎、三人は三胎(品胎)、四人だと四胎です。多胎は、一つの卵子が受精したあとに二つ以上に分かれてできる場合と、二つ以上の卵子がそれぞれ受精してできる場合があります。この区別を卵性と言います。双胎ではこのどちらか、品胎以上ではこれらが組み合わさって起こっています。卵性のほかにも区別の仕方があり、膜性といって、とても重要です。主に一卵性の多胎の場合、受精卵が分かれる時期によって、赤ちゃんの数とは別に、胎盤(絨毛膜)の数や赤ちゃんがいる部屋(羊膜)の数が変わり、それぞれリスクが異なりますので、どのタイプの多胎妊娠なのか、妊娠初期に膜性を診断してもらうことがとても大切です。


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多胎の頻度は、民族によって大きく違います。日本では頻度が低く、アフリカ系では高いことが知られています。かつて日本では、双胎は1000のお産につき5〜6組、品胎妊娠はその100分の1ほどでした。その後1970年代から、不妊治療の普及などの影響で頻度は年々増加していましたが、多胎妊娠はお母さんと赤ちゃんのどちらにとってもリスクが高いため、不妊治療で多胎妊娠にならないよう求められるようになり、2005年頃から減少する傾向にあります。最近は、双胎は1000のお産につき9〜10組、品胎妊娠は10000に1組ちょっと、四胎以上は年間数組程度です。


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多胎妊娠のお母さんには、つわり、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、HELLP症候群、血栓症などの合併症が起こりやすいことが知られています。流早産、子宮内胎児死亡も単胎妊娠に比べ多いです。特に早産については、赤ちゃんの数が多いほど、早い週数で生まれる傾向があります。また、一つの胎盤を複数の赤ちゃんが共有するタイプ(一絨毛膜性)の多胎では、双胎間輸血症候群という病気が起こると急に赤ちゃんたちの具合が悪くなることがあります。このように、単胎妊娠に比べてより多くのリスクがあるため、多胎妊娠と診断されたら、異常を見逃されないように、きちんと病院を受診することが大切です。また、MFICU(母体胎児集中治療室)やNICU(新生児集中治療室)を持つ、あるいはそれに準じた治療のできる施設での管理をお勧めします。受診の回数が増えたり、早い週数から入院が必要になったりすることも少なくありません。あまり無理をせず、気になる症状がある場合は病院に相談してください。


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出産時にも、お母さん、赤ちゃんともに、多くのリスクがあります。赤ちゃんの数に応じて子宮が大きくなるため、子宮の筋肉が疲労し、陣痛が弱く分娩が進まないことや、分娩方法に関わらず出産後に多量出血を起こしやすいことが知られています。経腟分娩ができるかどうかは、赤ちゃんたちの向きや大きさ、お母さんの状態や、分娩する施設の対応力などから総合的に判断されますが、帝王切開での出産になることが多いです。赤ちゃんは、早産で生まれることが多く、その週数により必要な治療や後遺症のリスクが異なります。


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多胎の育児は、負担が大きく、孤立も深まりやすいと言われています。誰か一人に負担が集中することのないよう、家族で協力することが必要です。保健師さんから情報や支援を得るのも選択肢の一つです。地域によっては、多胎児の家族が交流できるサークルもあります。自分に合った方法で、社会資源をうまく活用してください。


道方香織先生



多胎育児のリアル
子育ての喜びも苦労も2倍、3倍になりそうな多胎育児。
実際はどんなところが大変で、どんな幸せがあるのでしょう。
今回は、広島市・廿日市市を中心に活動を行う
多胎児サークル「ピーナッツ・フレンド」にお話を伺いました。
多胎育児ならではの“あるある”も満載です。


座談会MEMBER紹介

サークルを知ったきっかけ

出原:私は母子手帳をもらう時に渡されたチラシで知りました。その時は不安がいっぱいだったのですぐに入会を決めました。
松本:私も同じく母子手帳交付の時のチラシと、それから入院時、ピアサポート活動をされている先輩からサークルについて聞くことができたのは良かったかな。
入山:私の場合は他県で出産して多胎児サークルに入っていてずいぶん助けられました。だから広島に越してきてからも必要性を感じて自分で探したんです。


多胎妊娠がわかってから

入山:双子ってわかった時は、病院からリスクについて教えてもらって、不安がいっぱいでしたね。先生に言われた通りずっと安静に過ごして、出産するまで不安が続いたかも。
出原:一番最初に思ったのは、「双子って将来比べられたりするのかな…」ってことだったかな。
松本:私の場合は先生から双子って聞いた瞬間「えー!」って叫んでいました(笑)。妊婦健​診でもらうエコー写真を見て安心したり、双子用の服を買って不安を紛らせたりしてましたね。
入山:でも安静の度合いって人によって違いますよね。中には出産まで活動的な方もいるし。
出原:初産かどうかによっても違うのかもしれないですね。
松本:あと、双子じゃなくても同じだと思いますが、食べ物にはとにかく気を遣いましたね。
入山:それから、早い時期からお腹が大きくなるのも多胎妊娠ならではかもしれないですね。
出原:そうそう。7か月目くらいから臨月に見えますよね。出産直後は「やっと終わった…」という安堵感と、「ちゃんと子どもたちが泣いてる」という嬉しさでいっぱいでした。


座談会-img

多胎育児で大変なこと

入山:特に赤ちゃんの頃は、とにかく人手が足りないですね。うちはパパや両親のサポートも得られにくい環境だったので、泣いている子を同時に抱っこできないのが辛かったです。中でも授乳中などどうにもできない状況の時は、歯痒い思いをしました。
松本:ミルクやオムツ、衣類など、なんでも2倍かかるのが経済的にはしんどいですよね。
出原:あと、双子同士が時間差で風邪をうつしあったり…。結果私までうつって、結局3回も病院に行くことになったりしました。
入山:体力的にもですが、双子用のベビーカーが通れなかったりするので、おでかけが物理的に難しい場所もありますよね。私は事前に道順を調べたりもしました。
出原:2人共を連れては、なかなかトイレにも行けなかったりしますよね。
松本:だからおでかけするには気力が必要なんですよね(笑)。
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多胎育児での喜び

出原:どっちが年上とかない2人がお互いを可愛がっている姿が微笑ましいし、面白いですよね。
松本:確かに。ケンカもするんですけど、2人遊びを始めると一緒にお花とか摘んで、もう1人にお花をあげてる姿にキュンとします。
入山:2人なので、新しい環境に入っていく時の心強さもありますよね。
出原:うちの子も人見知りなんですが、〝双子〟で覚えてもらえるので、すぐに友達ができますね。それから、いろんな方に声をかけてもらえるのも嬉しいです。「お母さん、頑張ったね」とか「私も双子なんですよ」とか。
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多胎育児あるある

松本:死角がない公園、道路がそばにない公園を選ぶのは必須ですよね。
出原:はい。ちょっと目を離すと1人がいなくなったりしますから。
入山:1人を寝かしつけるともう1人が泣き出して、寝不足になるのもあるあるですよね。
出原:タイミングを図ってるんじゃないかと思うくらい(笑)。だから授乳しながらの食事や立ったままの食事もあるあるです。でも、同じ寝顔、同じ寝相で眠っているのを見ると可愛いですよね。
入山:思わず写真を撮っちゃいますね。それと、同時に話しかけられることも多いですよね。
松本:あと、ちょっとした違いでちゃんと見分けがつくのも、私たちならではかもしれないですね。
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「ピーナッツ・フレンド」って?

1993年11月27日に発足した、広島市と廿日市市を拠点に活動している多胎児サークルです。双子以上の子どもをもつ親とその家族が、会員相互の親睦を通じて、育児に対する悩みや不安をお互いに分けあうことを目的にしています。現在、0歳〜高校生の多胎児を持つ親と多胎児妊娠中の方まで、会員数は約50組です。


活動内容は?

主な活動は、広島市西区で月に1回実施する「ミニ集会」(南区・安佐南区・佐伯区・廿日市市でも不定期開催)、「リサイクル集会」「ピクニック集会」「クリスマス集会」などの「全体集会」、ランチ・ディナーを楽しむ「ママだけ企画」で、この他、会報の発行やSNSを通じての交流も行っています。また、コロナ禍でも親睦を深められるよう、zoomでの集会も行っています。
ミニ集会
「ミニ集会」では、成長を喜びあったり悩みを共有したりします。
リサイクル集会
「リサイクル集会」の様子
クリスマス集会
「クリスマス集会」の様子

入会するには?

多胎児を育児中か妊娠中であれば、入会条件などはありません。下記SNSよりDMなどで気軽に連絡してみてください。