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第23回:電子機器の利用

 国際バカロレア教育は、子供の考える力を育てることに重きを置いているのですが、われわれが今直面している問題に、電子機器使用の増加があります。あらゆる年齢の子供たちが、簡単な気晴らしを欲しがり、電子機器なしでは時間を潰せなくなっているのです。今までは、考えをめぐらすことだけで多くの時間を費やしていたものです。自由に考えをめぐらすことはとても生産的な時間であり、潜在的には大変創造的な時間だと思います。最近よく見かけるのが、バスに乗っている時、カフェにいる時などに、電子機器を手にし、スクリーンにくぎ付けになっている人たちです。友達と一緒にいる時でも同様のケースを目にするのは悲しいことです。このような光景にみなさんもお気づきだと思います。
 どこにいても簡単にネットワークにアクセスでき、すぐ手の届く所に携帯電話がある状況で、じっくり腰を落ち着けて考えを巡らす理由はないのです。じっくり考え、創造するのに、電話は役に立たないとは言いませんが、ソーシャルメディアの現実は、画面をスクロールするだけで、限られた思考パターンによって時間つぶしをしていることになるのです。結果として、子供たちが考えをめぐらす時間がどんどん少なくなっています。ただ考えをめぐらすということを退屈な時間と子供たちは感じ、何もすることがない時に自分で楽しみを見つけるといった必要な機会を与えられることがなくなってきているのです。
 自分の考えをさまよわせ、自分の中で考えを発展させる時間がどんどん少なくなっているのは確かです。電子機器が与えてくれる気晴らしにより、考えることから離れていっています。10年前と今とでは、電子機器への身近さがまったく違います。これから10年後、子供たちの生活は今とどのように違っているのでしょうか。親としてのこれからのチャレンジは、子供の生活において、どのようにバランスを保っていくかを模索し続けることだと思います。子供にiPadを手渡すとします。あなたが犠牲にする数分は、二度と与えられない子供との会話の時間かもしれません。同様に、新幹線に乗っている時、子供にスマートフォンを手渡すと得られる静かな時間に対して、窓からみえる景色について、子供と語り合う貴重な機会を犠牲にすることになるかもしれません。
 電子機器は、コミュニケーションや簡単に情報を入手する手段としては大変役にたちます。しかし、バランスを考え、貴重な機会を失わないよう、そして、ただ座って考える時間がどんなにすばらしいことで、それを習慣づけることが必要なことを忘れないようにしましょう。


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